「心をこめてヌイてください」童心社の紙芝居が凄すぎる件

 子どもに読み聞かせようと、図書館から紙芝居を借りてきました。

 初版が昭和58年になっている童心社の古い紙芝居です。
 借りる人が大切に使っているのでしょうね、20年以上経った今でも、こうして使えるのですから。
 
 ところで、紙芝居の裏に注意書きがしてあります。題名も「紙芝居のやり方」。

 なるほど、親向けに説明してくれているんだな、と読んでみたところ……すげえ!すごすぎる!
 その文章にあまりに感動したので、ここに紹介しておきます!

紙芝居のやり方
(演ずる前に必ずお読みください。)

1 かならず舞台をお使いください。紙芝居は、動かない画と、文と、朗読とぬき方をともなう実演とが、混然一体となって、幼児をたのしいドラマの世界に誘う視聴覚教材です。舞台へいれて演じないと、ぬき方の効果が全然期待できませんので、紙芝居のたのしさは半減してしまいます。

2 かならず下読みをしてください。作品のテーマ、語り口、登場人物の性格などをつかんではじめないと失敗します。

3 はじめる前に、画が順番どおり揃っているか、かならず確かめましょう。順番が狂っていて、中途でやり直しをすると、もりあげてきたドラマが中断されて、せっかく集中してきたこどもだちは、とまどってしまいます。

4 紙芝居では、ぬき方がたいへん重要です。単純な「ぬく」でも、無神経にぬいたのでは効果が半減します。「ぬく」という動きが、ドラマの進行、展開の上で重要な役割をしますので、水平に、静かに、心をこめてぬいてください。「ぬきながら」、「はやくぬく」、「線までぬいて」など、その部分の文章と画面の総合する効果をよくのみこんで、指定どおり演じてください。

5 紙芝居は、演じ手のもちまえの声、調子でせりふも、老人らしく、こどもらしく演じわける程度がよく、オーバーな声色は、かえって、動かない画面との調和を破って、ドラマを破綻させます。

6 その作品にふさわしい語り口、緩急のリズムがありますので、それにのるように演じてください。こどもたちの理解やよろこびをいっそう大きくすることでしょう。

 てか、これ無理!

 家庭で楽しむレベルじゃないってば、これ。

 一応、童心社から紙芝居用の舞台が販売されていますが……
 http://www.doshinsha.co.jp/search/info.php?isbn=9784494073009

 1万円かよ!
 1万円で舞台を手に入れないと、紙芝居の楽しさは半減ですよ!

 娘よ、お父さんを許しておくれ……図書館で借りてきた紙芝居、たのしさを半減させてしまった……「ヌキ」の効果が出せないんだよ……。

 世の親と呼ばれる皆さん。家庭で楽しむ紙芝居、どうぞドラマを破綻させることなく演じ切ろうではありませんか……。